すてきな夜ね

アメリカン・グラフィティ [DVD]

アメリカン・グラフィティ [DVD]



あるアメリカの田舎町に住む四人が主人公
高校卒業 最後の日、登場人物はそれぞれの夜を過ごします。
全篇を通してオールディーズが心地よく流れ、愉快なロックからとろけるラブソングまで1960〜70年代に浸ることができます。

久々に観たら、切なくて切なくて、青春ホイホイではないかと思われました…笑

キマらないけどかっこ悪すぎてもなく、
大人びるけど絶対子供みたいな振る舞いもできない。
自分の足でめぐる夜の広さや、一人で迎える朝の暴かれた感覚。
数時間前の熱の火種が夢みたいに残ってるけど白けてる部分もある

こそこそ観てしまいます!

恥ずかしい

たしなみについて

たしなみについて

姉の机の上にあったこの本、
恐らくこの機会がなければ出会わなかった本。私は俗っぽい本ばかり読んでいるので。
最初は難しくて脱落しそうになっていたし。
しかも借りたまま10日、これは泥棒です。

三分の二は理解できなかった。
しかしとてもとても良いことが書かれていることはわかった。
清少納言、利休、モデル、蘭の花、智慧というものについて。
自分の精神がいかに幼稚で偽物かがわかり恥ずかしい気持ち。
宝石をつらねたネックレスをなぞるようなうつくしい文章でした。ひれふしたいと思うけどそんな権利さえない。

読み終わった後になって書かれたのが1948年だと知り、新しいなと思っていたので最後にまた感動しました。
有難うございます!!

定理

テオレマ [DVD]

テオレマ [DVD]




高校生の時に丸尾末広さんの漫画を集めてて、薔薇色ノ怪物という単行本の中にある、アレマ!テオレマというタイトルの短編を読んだことがあり、そこから何年かのちにパゾリーニ監督のテオレマという映画の存在を知り、元ネタはこれだったのかと、見つけ出したとき一人でテンションが上がりました。

テレンス・スタンプさん演じる青年が、とあるブルジョワの一家庭になぜか突然住み始め、父母兄妹お手伝いさんそれぞれを不思議な魅力で虜にしたのちに、またふいに、去っていってしまいます。

残された家族はその空虚を埋められず、精神の崩壊を迎えます。

ブルジョワ社会の家族が抱えていた空虚を浮き彫りにしていたり、また、宗教や現代社会の問題も含んでいるそうなのですが、知らずにシンプルに観ても、楽しめます。
母役のシルヴァーナ・マンガーノさんの造形がきれいでお人形さんみたいです。

青年の存在に救いを見出し崇拝していたからこそ、それを失ったあとの道筋が脆く、苦しく…美しいなあと思ってしまいます。エグいのですが、それに勝る狂気な美が忘れられません!

Boy

少年 [DVD]

少年 [DVD]



我が子供を用いた現実のニュース、当たり屋事件をストーリー化しています。
幼い少年は学校に通うこともかなわず、親の金稼ぎのために自分の生命を削られます。
親父がワンタンひっくり返すシーンにびびったことが、印象に残ってます。
少年と夜の海、こわくて深い夜をなぜ少年はひとりで耐えなくてはならないのか。

私が感じるかぎりでは、子供は親の足りない社会性を、自然と補うような術を身につけ、知らず知らずのうちに親のことをカバーしています。

たとえば親が犯罪に対して良心の呵責が無ければ、子供は身をもって教える…親が気づかないから、気づかせるのです。それは懸命で、親を愛してるから起こすのです。

どうかそんな懸命な子にやさしくなりたいです。映画から強い祈りを感じます。

大人はわかってくれない が好きな方…日本のこちらもお勧めです。m(__)m

L'Empire des sens


阿部定事件を、元とした、1976年の日仏共同映画です。大島渚監督の映画の中でも性描写が激しいので、レンタルでの閲覧は困難です(T_T)

挿入曲 エリック・サティ/グノシエンヌ!

wikiより引用▼

逮捕

定は逮捕されると「私は彼を非常に愛していたので、彼の全てが欲しかった。私達は正式な夫婦ではなかったので、石田は他の女性から抱きしめられることもできた。私は彼を殺せば他のどんな女性も二度と彼に決して触ることができないと思い、彼を殺した…」なぜ石田の性器を切断したかは「私は彼の頭か体と一緒にいたかった。いつも彼の側にいるためにそれを持っていきたかった」と供述している。

二人が出会ってからの、始まってしまった!とでもいえる、熱烈な流れにのまれます。

初めて見た 五年前くらいのときは、吐き気のような胸の重さを感じました。こんな経験できやしないし、憧れない!こんな風に愛するなんて、何と幼稚なのか!あまりにストレートで我儘で、入り込めないのに見せられて、モヤモヤ。
しかし年月がたち、焼き付いた情景が忘れられなくて、反芻すること度々…笑

いい歳した大人が、いい歳した大人でいられないというのはなんと哀しく幸せなことなのでしょう!

松田さん演じる定は、愛された悦びで、どこまでも無邪気に身勝手な振る舞いをしますが、愛されることのこわさも内面に常に抱えています。
夢の中でひとりきり誰か探すシーンや、列車で吉の着物に鼻をうずめて匂いを確かめるシーンなど、恋する女の寂しさ、貪欲さも痛切に描かれています。



大島監督のフィルターを通して描かれる、ピュアな人々の熱は、私をひきずりこみ、寂しく、泣きたくなるような印を残していかれます。

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巻き込まれてゆく

ロスト・イン・トランスレーション [DVD]

ロスト・イン・トランスレーション [DVD]

映像がやわらかくて素敵です。
自分がどこでどう過ごしてもきっと 自分が思い描く場所には繋がっていないのではないかという、危機感を抱えた俳優
結婚相手との関係が停滞し 自分の未来も現在も見通しがきかず ひとりせつなさを抱えた女の子


新宿の雑多さ、身勝手な喧騒、やはり空は濁っていて、湿気じみた空気。
奇妙に感じられる異国の文化。わからない、わからない。。
主人公たちは、ぎこちない笑顔で、なじみきれないまま佇みますが
ふたりでいるひとときにだけ フラストレーションをぽつりと漏らします
自分がなにをしていいかわからないの

異国の地で、出身が同じ国のある一組の男女が出会い、少しだけ時間を共にして、別れる
それだけの流れなのですが、随所に言葉にできないせつなさが染み出しています
そのしたたりは、みごとに、おでん とか、染めもの とか、書道の和紙 のようにどこか日本色ではありませんか…?

女の子はとげをひそめている

いばら・ら・ららばい (KCデラックス)

いばら・ら・ららばい (KCデラックス)



自分や他人の、女性性を心の中で、批判してしまう、葛藤を抱えた女の子が出てきます。

おしゃれな服を買うときに自問自答するシーン「似合わない」という心の声に、「誰が?」と問いかけるのですが、彼女はそこで、気付いてのりこえる。とてもまぶしいです。

かわいい、かわいいお話です。